2019年 監基報220読み解き(その4)

 今回は、監査調書レビューの実施時期、専門的な見解の問合せ、審査、審査の実施項目、監査上の主要な検討事項、不正を示唆する状況および審査担当者の検討する事項を読み解きます。

21.監査調書レビューの実施時期
 監査責任者は、監査報告書日以前に、監査調書の査閲や監査チームとの討議を通じて、得られた結論と監査意見を裏付けるのに十分かつ適切な監査証拠が入手されたことを確かめなければならない(16項)としています。
 監査基準や監基報700などを引くまでもなく、監査報告書日までに十分かつ適切な監査証拠を入手しなければなりません。監査人は、確かめるまでもなく、監査報告書日までに十分かつ適切な監査証拠を入手できたかどうかを承知しています。入手できていなければ、監査意見の表明を延期するこを検討せざるを得なくなります。
 この規定で留意すべきことは、監査調書のレビュー(査閲)や監査チーム内の討議(チームディスカッション)が監査の結論や監査意見を裏付ける重要な基礎とされていることです。
 監査調書レビューの実施時期について、監査責任者が、監査の実施中の適切な段階で適時に以下のような事項に関する監査調書を査閲することによって、監査報告書日前に、重要な事項を監査責任者が納得できるように適時に解決することが可能となる(A15項)として、早期の監査調書の査閲を行うことによって、以下の監査上の重要な事項に関して十分かつ適切な監査証拠を入手できるとしています。
 ・監査上の判断を要する重要な領域、特に、監査の実施中に識別した専門的な見解の問合せが必要な事項に関連する領域
 ・特別な検討を必要とするリスク
 ・監査責任者が重要と認識するその他の領域

 これらの領域やリスクに対する監査手続を監査終了より以前に実施できるかが疑問です。これらの領域やリスクに問題がないことを確かめることは監査終了直前であることが多いように思います。
 また、続けて、監査責任者は、全ての監査調書を査閲する必要はないが、…査閲した監査調書にサインを記入するなどの方法により査閲の対象と実施の時期を記録する(A15項)としています。この規定にある、監査人が全ての監査調書を査閲する必要はないことはすでに読み解きました。監査調書レビューの実施と日にちを明らかにするため、イニシャルなどとともに日付を記載します。
 さらに、監査の実施中に、監査事務所内で監査責任者の交代が行われた場合には、後任の監査責任者は交代日までに実施された作業に関する監査調書の査閲を行うために、A15項に記載された監査調書の査閲の手続を適用することができる(A16項)としています。
 監査実施途中での監査責任者の交代がパートナー・ローテーションの場合には、監査実施以前の監査契約の更新に際してその年度の監査責任者を指名するため、監査実施途中での監査責任者の交代は通常あり得ません。
 交代があり得る場合は、前任の監査責任者が死亡や病気その他の理由により、監査人の責任を全うできない場合と考えます。このような監査責任者に交代があった場合、後任の監査責任者は後退日以前に作成された監査調書を査閲することを規定しています。後任監査人は、交代日以前を含めた事業年度の監査に責任を有しているため、当然に、交代日以前に作成された監査調書を査閲して、実施した監査に問題がないことを確かめることが必要です。
 しかしそのため、このような例外的なことにまで規定することが必要なのでしょうか。饒舌な監基報を前にした監査人や監査スタッフが「思考停止状態」となり、形式的・機械的な監査の実施状況となっているように思われて仕方ありません。
 なお、16項に関連する指針としてA17項が参照されていますが、すでに読み解いたので、ここでは省略します。

22.専門的な見解の問合せ
 監査責任者は、専門的な見解の問合せに関して、以下の事項を行わなければならない(17項)としています。
 (1)専門性が高く、判断に困難が伴う事項や見解が定まっていない事項に関して、監査チームが専門的な見解の問合せを適切に実施する責任を負うこと。
 (2)監査チーム内、および監査チームと監査事務所内外の適切な者との間で、監査チームのメンバーが監査の期間中に専門的な見解の問合せを適切に実施したことを確かめること。
 (3)専門的な見解の問合せの内容及び範囲ならびに得られた見解に助言者が同意していることを確かめること。
 (4)専門的な見解の問合せから得られた見解に対処しているかどうかを判断すること。

 判断が難しい事項や見解が定まっていない事項(contentious matters)に関する監査事務所としての専門的な見解に関する問い合わせに対して回答する部署が品質管理システムに規定されています。専門的な見解の問合せは、通常、このような監査事務所としての見解を問い合わせることです。なお、私見では「専門的な見解の問合せ」(consultation)を「相談・協議」と訳出しています。
 規定が分かりづらいため読み替えると、(1)は「責任を負うことを行わなければならない」となり、意味が通りません。そのためISAを参照すると、”Engagement partner shall:”ですから、「責任を負わなければならない」となります。そのため、「事項」を削除して「以下を行わなければならない」とすれば意味は通ると思われます。
 この理解の下では、(1)は監査チームとして行った専門的な見解の問合せ(consultation)に関する責任を監査人が負わなければならない、という当然のことを規定しているだけです。しかし、監査事務所としての専門的な見解を正式に問い合わせる者は、最終責任を負っている監査人でなければならないと解します。
 (2)は、監査実施中に監査チーム・メンバーが監査チーム内で、監査事務所内外の適切な者との間で専門的な見解の問合せを適切に実施したことを確かめなければならない、ということです。監査チーム内はもちろん、事務所内外の適切な者への問合せは、監査事務所としての見解の問合せには該当しないと解します。つまり、(2)の状況は、監査チーム・メンバーが個人的に不明なことや疑問について問い合わせ(質問)をしている状況です。
 このようなスタッフが自己の不明な点や疑問を質問により解消することは大事なことです。”consultation”は、このような質問を包含した用語です。そのため、「専門的な見解の問合せ」という表現が馴染みません。「相談・協議」の方が良いと考えます。なお、スタッフが監査事務所外の人に相談・協議することは、守秘義務の関係から、通常、望ましくないと考えます。
 また、(2)と(3)の「確かめなければならない」対象は、監査スタッフの質問と助言者の同意です。なぜ、どのように確かめるのか理解できないため、ISAを参照すると、「確かめなければならない」は”shall be satisfied”(満足されなければならない)です。したがって、監査スタッフの質問や回答または助言者の同意があったことに納得しなければならない、同意を得なければならない、ということと解します。
 (3)は、専門的な見解の問合せの内容と範囲、および得られた見解に助言者が同意していることが、得られた見解(結論)を主体的に導き出したのは助言者(問合せの回答者)であるため、理解できません。ISAを参照すると、”are agreed with the party consulted”ですから、助言者(問合せの回答者)と同意することと解します。専門的な見解の問合せの内容と範囲および得られた見解について監査人と回答者が同意していなければならない、ということです。
 (4)は、ISAを参照すると、監査人が相談・協議から得られた結論(conclusions)が実行されている(have been implemented)ことを判断しなければならない(shall determine)、つまり、監査人は相談・協議によって得られた結論を自己の責任で実行しなければならない、ということです。
 ところで、専門的な見解の問合せ(相談・協議)に関連して、専門的な事項、職業倫理に関する事項などについて、監査事務所内外の者に専門的な見解の問合せを実施する場合、適切な知識や経験を有している助言者に十分に関連する事実を提供することによって、専門的な見解の問合せを効果的に行うことができる(A18項)として、問い合わせの内容・範囲に関する十分な情報を助言者(回答者)に提供することを求めています。
 また、監査事務所内に適切な人材を有しておらず、監査チームが監査事務所外に見解の問合せを行うことが必要な場合には、他の監査事務所等に専門的な見解の問合せを行うことができる(A19項)としています。規定そのものについての読み解きは不要と思います。しかし、監査事務所は、専門家を利用せざる得ない特殊な領域を除き、判断が難しい事項や見解が定まっていない事項であっても監査事務所の見解を回答または考察できる回答者を選任することが必要と考えます。
 さらに、監査責任者は、不正による重要な虚偽表示を示唆する状況が識別された場合、又は不正による重要な虚偽表示の疑義があると判断された場合には、監査チームが必要に応じ専門的な見解の問合せを適切に実施する責任を負わなければならない(F17-2項)としています。この規定は、不正リスク対応基準第三6への対応として追加された規定です。
 不正リスク対応基準第三6は、不正を示唆する状況を識別した場合、不正の疑義があると判断した場合に専門的な見解を得られるようにするための品質管理システムの構築を求めています。しかし、規定は、問合せの実施に関する責任が監査人(監査責任者)にあることを明らかにしています。
 不正を示唆する状況を識別した場合、不正の疑義があると判断した場合には、速やかに品質管理責任者に報告して、対策を講じることが必要となります。その対策や措置について品質管理部署や関係者と協議しますが、不正リスク対応基準および規定はこのような協議も専門的な見解の問い合わせに含めています。しかし、私見では、このような協議は”consultation”には含まれないと解します。

23.審査
 監査責任者は、審査に関して、以下の事項を行わなければならない(18項)としています。
 (1)審査担当者が選任されていることを確かめること。
 (2)監査中に識別した重要な事項(審査中に識別されたものを含む。)について審査担当者と討議すること。
 (3)審査が完了した日以降を監査報告書日とすること。

 この「以下の事項を行わなければならない」という記述は、17項と同様に、”the engagement partner shall:”ですから、(1)は「確かめなければならない」で、(2)は「討議しなければならない」であり、(3)は「監査報告日としなければならない」ということです。
 また、ISAでは、「上場会社の財務諸表監査、および監査事務所が審査(engagement quality control review)を必要と決定している上場会社以外の監査業務に関して、…」という限定句が記述されています。それは、上場会社は審査を受けることは必須ですが、その他の会社や法人等については監査事務所が決定した範囲で審査を受けることが求められています。しかし、わが国では、原則として、すべての法定監査および任意監査について審査を受けなければならないとしています。審査対象範囲は我が国の方が相当に広いことに留意ください。
 (1)の審査担当者は、通常、品質管理部署が選任して監査責任者に通知しますから、あらためて選任されている審査担当者を確かめることは不要です。なお、「確かめる」はISAでは”determine”ですから「判断する」という方が適切であると考えます。
 (2)の重要事項について監査人と審査担当者が協議しなければならないことは当然のことと解します。大規模監査法人では、このような協議をせずに書面のみの審査が行われていると聞くことがあります。審査を実施することの趣旨を理解していない、形式的・機械的な監査の典型例とも考えられます。
 (3)は、審査終了日以前の日付を監査報告書日としてはならないということです。この監査報告書日付に関して、監基報700が監査報告書日を最終的な十分かつ適切な監査証拠の入手日以後の日付とすることを求めているとして、審査が十分かつ適切な監査証拠を入手したかどうかを判断する一助となる(A20項)としています。これは審査項目に十分かつ適切な監査証拠が入手されているかという項目が含まれているため、審査によって十分かつ適切な監査証拠が入手されていると裏付けられたということと解します。しかし、監査人は、十分かつ適切な監査証拠を入手できたかどうかを判断すべきであり、まだ入手できていないと判断したときは、監査手続を追加して実施することが必要です。
 また、審査の実施タイミングについて、監査の適切な段階で適時に審査を実施することによって、重要な事項を監査報告書日以前に審査担当者と速やかに同意して解決することが可能となる(A21項)としています。
重要な事項に係る監査手続の実施が終了して、十分かつ適切な監査証拠を入手できたと監査人が判断したならば、監査終了以前であっても、速やかに審査担当者と協議して、当該事項の対応に同意をもらい、必要な対応や措置を講ずる場合には、速やかに実施することが必要です。

24.審査の実施項目
 審査担当者は、監査チームが行った重要な判断や監査意見を客観的に評価しなければならない(19項)として、評価に関連する事項として以下を例示しています。
 (1)重要な事項についての監査責任者との討議
 (2)財務諸表と監査報告書案の検討
 (3)監査チームが行った重要な判断とその結論に関する監査調書の検討
 (4)監査意見の評価及び監査報告書案が適切であるかどうかの検討

 監査チーム(監査人および監査チーム・メンバー)が行った重要な判断は、重要な事項についての判断です。この重要な判断と監査意見について審査を実施することを明らかにしています。
 (1)は、18項(2)の監査人が重要な事項について審査担当者と協議することが必要なことと同様に、審査担当者が重要な事項について監査人と協議することを求めています。
 (2)は、財務諸表の最終案と監査報告書の草案をレビューすることです。財務諸表の最終案のレビューには、財務諸表作成に係るチェック・リストのレビューが含まれます。監査意見の形成に関しては、 (4)と同時に実施して、監査意見の形成に関する監査調書をレビューし、監査意見の形成プロセスおよび監査報告書の記述の適切性を評価します。
 (3)は、重要な事項についての監査チームの判断の妥当性を評価するために、関連する監査調書をレビューします。
 審査における評価に関連する重要な事項に関して、監査責任者は、状況の変化に留意することにより、監査の開始時には審査が必要でないと判断した事項が、重要な事項として審査を必要とする状況であるかを識別できる(A23項)として、監査の開始時(監査計画の立案時)には重要な事項としていなかった事項が、状況の変化により重要な事項となっているかどうかに留意することを求めています。しかし、審査担当者が状況の変化を直接把握することは通常できません。そのため、審査担当者は、監査人に対して状況の変化によって重要な事項となったものが無いかどうかを質問することによって把握せざるを得ないと考えます。
 また、審査の範囲に関して、審査の範囲は、とりわけ、監査業務の複雑性、企業が大会社等であるかどうかや不適切な監査報告書が発行されるリスクを考慮して決定される(A24項)としています。 監査業務が複雑な場合には、重要な虚偽表示のリスクの可能性が高まるため、審査も慎重に行う必要があります。大会社等の場合、監査の失敗が生じたときには社会的な影響が大きく、監査事務所の評判にも影響するため、大会社等以外の会社に比して慎重に審査を実施する必要があります。
 なお、大会社等以外の会社の審査は、監査事務所の品質管理システムにしたがって、監査の品質が合理的に確保される範囲において、A25項の事項等を簡素化または柔軟に実施することができる(A26項参照)としています。
 A24項の不適切な監査報告書が発行されるリスクは、重要な虚偽表示を看過して誤った監査意見が表明されるリスクです。このようなリスクの存在を審査担当者が事前に知り得る手だてはありません。そのため、重要な虚偽表示のリスク、特別な検討を必要とするリスクまたは不正リスクの識別・評価の妥当性、リスク評価手続および理数対応手続が的確に実施されたことを確かめ、十分かつ適切な監査証拠が入手されているかどうかを厳格に審査するしかないと考えます。
 さらに、A24項は、審査は、監査責任者の責任を軽減するものではないとしています。この規定は留意規定ですが、監査人(監査責任者)は関与した監査業務に係るすべての責任を最終的に負う者であるため、審査担当者にその責任の一部を負わせることはできないことを明示しています。

25.監査上の主要な検討事項
 監基報701にしたがい「監査上の主要な検討事項」を監査報告書に記載するとき、監査報告書案が適切であるかどうかの検討には以下が含まれる(A24-2項)としています。
 ・報告すべき監査上の主要な検討事項が監査報告書案に記載されているかどうか。
 ・監基報701 13項に基づき監査上の主要な検討事項を記載しない場合、記載しないことが適切かどうか。
 ・報告すべき監査上の主要な検討事項がない場合、企業及び監査に関する事実及び状況を踏まえて、それが適切かどうか。

 加えて、19項(2)に従って実施する監査報告書案の検討には監査上の主要な検討事項の表現方法の検討も含んでいる(A24-2項)としています。
このA24-2項は、監基報701の新設に伴い2019(平成31)年の改正により新設されました。
 監査上の主要な検討事項として報告すべき事項が監査報告書に記載されていることを確かめ、その記述が適切かどうかを検討します。記載ない場合には、記載するよう監査人に求めることとなります。報告すべき事項が開催されていないことは、当該事項が監査上の主要な検討事項ではなくなった場合とは異なっています。
 例外的に監査上の主要な検討事項を記載しない場合、監基報701 13項にしたがっているかどうかを検討します。
 監査上の主要な検討事項が無い場合には、事実や状況に照らして適切であるかどうかについて、監査人と協議を行って検討します。審査担当者による、ある事項を監査上の主要な検討事項として報告すべきであるとの判断に監査人が同意しない場合には、21項の監査上の判断の相違にしたがって、相違を解消しなければなりません。

26.不正を示唆する状況
 19項の要求事項である、(1)重要な事項についての監査責任者との討議および(3)監査チームが行った重要な判断とその結論に関する監査調書の検討に関連して、審査担当者が審査において評価する重要な事項や監査チームが行った重要な判断には、不正による重要な虚偽表示を示唆する状況を識別した場合、不正による重要な虚偽表示の疑義があるかどうかの判断が含まれる(FA24-3項)としています。
 FA24-3項は、不正リスク対応基準第二 15「監査人は、不正リスクへの対応に関する重要な判断とその結論について、監査事務所の方針と手続に従って、監査の適切な段階で審査を受けなければならない」への対応として規定されているものと解します。
 そうであれば、不正リスクへの対応に関する重要な判断とその結論に、識別した不正による重要な虚偽表示を示唆する状況が不正による重要な虚偽表示の疑義であるかどうかの判断と結論が含まれるということです。したがって、監査人によるこのような重要な判断と結論について審査担当者は監査人と協議し、関連する監査調書をレビューすることが求められています。

27.審査担当者の検討する事項
 審査担当者は、監査チーム(監査人および監査チームメンバー)が行った重要な判断や監査意見を評価する(19項参照)ことに加えて、審査において以下の事項を検討しなければならない(20項参照)としています。
 (1)独立性に関する監査チームの評価
 (2)監査上の判断の相違、又は専門性が高く判断に困難が伴う事項や見解が定まっていない事項について適切な専門的な見解の問合せが行われたかどうか、及び専門的な見解の問合せから得られた結論
 (3)重要な判断に関する監査調書には、実施した手続とその結論が適切に記載されているかどうか。

 また、大会社等の監査の審査において検討・評価する事項には以下の事項が含まれる(A25項参照)としています。
 ・識別された特別な検討を必要とするリスク、当該リスクに対する対応、及び監査チームの不正リスクの評価と対応
 ・監査の基本的な方針と詳細な監査計画の内容(監査期間中に行われた重要な修正を含む。)
 ・監査上の判断、特に重要性及び特別な検討を必要とするリスクに関して行った判断
 ・識別したが修正された虚偽表示または未修正の虚偽表示に関する重要性の判断及びその対処
 ・経営者および監査役等、該当する場合、規制当局などの第三者に伝達する事項

20項の要求事項において求められている、(1)の監査チーム・メンバーに関する独立性の評価は、品質管理システムにしたがって行われているかどうか、およびチーム・メンバーがそれぞれ独立性を確保していることを確かめることです。
 (2)は、品質管理システムにしたがって専門家の見解の問合せ(相談・協議)が行われているかどうかおよびその結論について確かめることです。特に問い合わせるべき重要な事項に漏れがないことを確かめることの必要です。
 (3)は、重要な事項に関連する監査調書をレビューすることが求められていますが、当該調書に実施した手続とその結論が適切に記載されていることを確かめることです。この検討では、監査手続書において実施することが指示されている監査手続が実施されていない場合には、その理由を聴取し、正当な理由があれば実施されていないことの影響が評価されているかどうか、または正当な理由がない場合には必要であればその実施を求めます。
 また、A25項の大会社等の監査の審査に指して追加検討が求められている最初の事項は、特別な検討を必要とするリスクおよび不正リスクの識別・評価およびそのリスクへの対応、つまりリスク対応手続がリスクの態様に合致しているかどうか、当該リスクによる重要な虚偽表示を発見できる監査手続が立案されているかどうか、およびそのような監査手続を実施した結果として的確に虚偽表示を発見したかどうか、またはリスクが実際には虚偽表示ではなかったことを監査証拠によって裏付けられているかどうかを確かめることです。
 二番目の事項は、監査計画の内容について審査することですが、監査計画の審査は監査計画立案時に実施しているため、監査実施中に行われた監査計画の重要な修正が適切に行われているか、不足はないかどうかを確かめることです。
 三番目の事項は、監査終了段階での監査上の重要性の改訂の要否などの重要な判断について確かめることです。また、特別な検討を必要とするリスク関する判断は、最初の事項と同時に実施します。
 四番目の事項は、識別した虚偽表示が修正されているかどうかを確かめ、未修正の虚偽表示の重要性とその影響を確かめて、形成する監査意見への影響を検討することです。
 最後の五番目の事項は、経営者や監査役等へ報告すべき事項を確かめ、監督当局等へ報告すべき事項について確かめることです。
 これらの追加検討事項は、大会社等に限定すべきでなく、審査を行うすべての監査の審査において実施されるべきです。


 次回は、不正による重要な虚偽表示の疑義がある場合の審査、審査を実施しない監査業務、監査上の判断の相違の解消、審査の完了、品質管理システムの監視、不正リスクに関連する情報の検討、監査調書、審査に係る監査調書、監査事務所間の引継ぎ、および共同監査を読み解いて、監基報220の読み解きを終了します。

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